在宅勤務の定着により、企業が貸与するPCは、従業員の自宅に分散して利用されるようになりました。このPCを入れ替える際には、自宅から回収し、保存されている業務データを消去したうえで、処分や返却を行う必要があります。回収と消去の手順が整っていないと、配送中の紛失や、社内での管理漏れなどにより、機密情報が漏洩するおそれがあります。この記事では、法人の情報システム部門や総務部門の担当者に向けて、PC入れ替え時のリスク、回収時の落とし穴、データ消去の基礎知識、安全に進めるためのプロセスを解説します。
PCの買い替えや定期的な入れ替え(リプレイス)のタイミングでは、従来のオフィス完結型の運用とは異なる、セキュリティ上の課題が顕在化します。オフィスでは、情報システム部門が機器を一括で回収し、管理できました。一方、在宅勤務では、従業員の自宅に分散しているPCを、どのように安全に回収し、保存されている機密データを漏洩させることなく、処分や返却に進められるかが問われます。PCには、顧客情報や取引先の資料、社内の認証情報などが保存されている場合があり、個人情報が含まれていれば、個人情報保護法に基づく安全管理措置の対象になります。
在宅勤務のPCを回収して、データを消去し、処分や返却に進める過程には、失敗しやすいポイントがあります。回収は、従業員が各自の自宅から行うため、オフィスでの一括回収と比べて、工程が複数に分かれ、管理の目が届きにくくなります。
従業員の自宅から社内や処分業者へPCを回収する際には、配送の途中で荷物が紛失したり、誤配送されたりすることで、情報漏洩につながるリスクが存在します。PCに保存されたデータが消去されていない状態で輸送すると、荷物の所在が不明になった時点で、情報の取り扱いに関わる事故として扱われる可能性があります。
回収した大量のPCが、データの消去が行われないまま、社内の保管場所に長期間置かれ、管理の目が届かなくなるケースがあります。回収したPCの台数や、消去が済んでいるかどうかの状況を、資産管理の台帳などで把握していないと、紛失や持ち出しがあっても、気づけないおそれがあります。回収の時期が集中すると、保管の場所が増え、担当者の負担も大きくなります。
「初期化すればデータは消える」という誤解から、適切な消去処理を行わないまま、PCの返却や処分に進めてしまうトラブルが起きています。OSの初期化は、データの本体ではなく、管理情報の書き換えが中心となる場合があり、専用のソフトなどを使うと、元のデータが読み出される可能性があります。
OSの初期化やフォーマットは、一般に、データを管理するための情報を書き換える処理が中心で、記憶領域に書き込まれたデータそのものが残る場合があります。データ漏洩のリスクを抑えるには、次のような専門的な技術によるデータ消去が必要です。第一に、上書き消去(論理消去)です。全記憶領域に、意味を持たない固定値や乱数を書き込み、元のデータを塗りつぶす手法です。第二に、SSD特有の消去技術です。近年のPCに多く搭載されているSSDは、従来のHDDとは構造が異なり、通常の上書きでは、全領域に処理が及ばない場合があります。そのため、暗号化キーを破棄するCryptographic Eraseや、SSD専用の消去コマンドを実行する方法が用いられます。第三に、国際的な基準への準拠です。米国の国立標準技術研究所(NIST)が公表している「NIST SP800-88」は、媒体の消去方法を、Clear、Purge、Destroyの3段階で整理したガイドラインで、2014年のRev.1は、2025年9月に公表されたRev.2に改訂されています。企業のコンプライアンスの面でも、こうしたガイドラインに沿った消去を行い、運用の根拠として示せるようにしておくことが重要です。
在宅勤務のPCを安全に回収し、データを消去するには、回収前の準備から、消去の実施、記録の保管までを、一連の流れとして設計する必要があります。ここでは、法人が運用に取り入れやすい3つのステップを紹介します。
最初のステップは、PCを回収する前の準備です。回収の対象となるPCのローカルデータを、BitLockerなどで暗号化したうえで、追跡可能な配送手段を用いて、安全に手配し、回収します。暗号化しておくことで、配送の途中でPCが所在不明になった場合にも、データを読み取られるリスクを抑えられます。
PCが社内や処分業者に届いたあとは、データの消去を行います。OSに依存せずに動作する専用のデータ消去ツールを使用し、HDDやSSDなどの媒体の特性に応じて、データの復元が困難になる消去を実行します。HDDには上書き消去、SSDには暗号化キーの破棄や専用コマンドなど、媒体によって適した方法は異なります。
消去を終えたあとは、実施の記録を残します。セキュリティの監査や、ISOなどの認証の運用では、「どの機器を、いつ、誰が、どの手法で消去したか」を示せる「消去証明書」のログを出力し、保存しておくことが求められます。証明書には、機器のシリアル番号、消去の日時、実施した担当者、消去の方式、結果などが記載されます。
在宅勤務のPCを入れ替える際は、配送中の紛失、社内での管理漏れ、OSの初期化への過信といった落とし穴が生じやすく、機密データが漏洩するおそれがあります。データ消去は、OSの初期化ではなく、上書き消去やSSD向けの消去技術を、NIST SP800-88などのガイドラインに沿って行うことが重要です。そのうえで、回収前の暗号化と追跡可能な配送、専用ツールによる消去、消去証明書の保管までを、一連の運用として標準化することで、リスクを抑えやすくなります。自社の体制での対応が難しい場合は、データ消去に対応する専門の事業者への相談も、選択肢の一つです。
※2022/4時点公式HPより
2022年4月時点で「データ消去」で検索して公式サイトが表示される上位35社をピックアップ。 消去証明書の発行または第三者機関の認定があるデータ消去サービス・販売企業の中から以下の基準で選定
アドバンスデザイン:全ての消去方法に対応。データ復旧会社の消去サービスを提供
ブランコ・ジャパン:消去したデバイス数が最多2.5億台以上(2022年6月公式HPより)
日東造機:物理破壊装置の業界シェアNo1(※)参照元:日東造機(http://nittoh.co.jp/db50pro.html)2022年6月時点
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| アドバンスデザイン | ブランコ ジャパン |
⽇東造機 | ||
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| 販売 | データ消去ソフト | 〇 | 〇 | - |
| 磁気データ消去装置 | 〇 | - | - | |
| 物理破壊装置 | 〇 | - | 〇 | |
| データ消去サービス | オンサイト対応 | 〇 | 〇 | - |
| オフサイト対応 | 〇 | - | - | |
| レンタル | データ消去機器レンタル | 〇 | - | - |
| 公式サイト | ||||