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磁気消去の仕組みと適切な利用方法

磁気消去とは、専用装置によってHDDや磁気テープへ強い磁界を加え、磁気記録へのアクセスを困難にするデータ消去方法です。

パソコンやHDDが正常に起動・認識しなくても処理できる場合があり、大量の磁気媒体を比較的短時間で処理したい場面でも利用されています。

一方、SSD、NVMe SSD、USBメモリ、SDカードなど、磁気を使わずにデータを保存する媒体には利用できません。また、磁気消去後のHDDは、一般的に再利用を前提とせず廃棄します。

磁気消去を適切に行うには、装置へHDDを入れるだけでなく、対象媒体と装置の適合性、HDDとSSDの判別、シリアル番号の照合、処理結果、処理後の廃棄まで管理することが重要です。

このページでわかること

  • 磁気消去によってHDDの記録を処理する仕組み
  • 磁気消去できる媒体と、利用できない媒体
  • 磁気消去のメリット・デメリット
  • 上書消去・物理破壊との違い
  • 故障HDDや大量のHDDに磁気消去が向く理由
  • 磁気消去装置を選ぶ際の確認項目
  • 装置購入・レンタル・専門業者へ依頼する場合の違い
  • 作業ログ・消去証明書で確認すべき内容

磁気消去は、HDDや磁気テープを再利用せずに処分する場合の選択肢です。媒体の種類と装置の仕様を確認し、処理結果と廃棄まで記録しましょう。

媒体・目的 磁気消去の利用
HDDを再利用せず廃棄する 選択肢になる
故障・認識しないHDDを廃棄する 選択肢になる
大量のHDDを短期間で処理する 装置の仕様・処理能力によって適する
磁気テープを廃棄する 対応装置であれば選択肢になる
HDDを再利用・売却する 原則として不向き
SSD・NVMe SSD 利用できない
USBメモリ・SDカード 利用できない
媒体の種類が分からない 判別するまで実施しない

磁気消去とは

HDDの磁気記録へ磁界を加える仕組み

HDDは、内部のプラッターと呼ばれる記録面へ磁気の状態を変化させることでデータを保存しています。

磁気消去では、対象となるHDDへ専用装置から強い磁界を加え、記録されている磁気状態を変化させます。これにより、HDDに保存されていたデータへ通常の方法でアクセスすることが困難になります。

ただし、磁気消去装置であれば、どのHDDにも同じように使用できるわけではありません。対象となるHDDの種類、サイズ、記録特性に対して、装置の仕様が適合している必要があります。

ディガウス・磁気破壊との呼び方の違い

磁気消去は、「ディガウス」「磁気破壊」「磁気データ消去」などと呼ばれることがあります。

事業者や装置メーカーによって呼称は異なりますが、本記事では、専用装置によって磁気記録へ磁界を加える処理を「磁気消去」と表記します。

なお、「磁気破壊」という名称が使われていても、HDDの外装を物理的に壊す処理ではありません。物理破壊とは別の方法です。

家庭用磁石では処理できない

磁気消去には、HDDの磁気記録を処理できる専用装置が必要です。

家庭用の磁石をHDDへ近づけるだけでは、記録面全体に必要な磁界を安定して加えられません。また、データが処理されたかどうかを確認・記録することもできません。

自己判断で磁石を使用するのではなく、対象HDDへ対応する磁気消去装置や専門サービスを利用しましょう。

処理後のHDDは原則再利用しない

磁気消去では、保存されていたデータだけでなく、HDDの動作に必要な磁気情報へも影響する場合があります。

そのため、磁気消去後のHDDは、原則として再利用・売却・譲渡せず、廃棄・再資源化する前提で取り扱います。

処理後もHDDを利用したい場合は、全領域の上書消去など、再利用を前提とした方法を検討してください。

磁気消去できる媒体・できない媒体

媒体 磁気消去 主な注意点
3.5インチHDD 対応装置であれば可能 装置の対応サイズ・仕様を確認する
2.5インチHDD 対応装置であれば可能 ノートPC内蔵媒体がHDDかSSDか判別する
サーバーHDD 対応装置であれば可能 HDDの種類・記録特性を確認する
LTOなどの磁気テープ 対応装置であれば可能 テープ規格と装置仕様を確認する
フロッピーディスクなど 装置による 対応媒体一覧を確認する
SATA SSD 不可 Sanitize・暗号化消去・物理破壊などを検討
NVMe SSD 不可 磁気消去では処理できない
USBメモリ・SDカード 不可 フラッシュメモリ向けの方法が必要

HDD

一般的な磁気記録方式のHDDは、磁気消去の対象となります。

ただし、実際に処理できるかは、HDDのサイズ、記録方式、記録特性と、装置の対応仕様によって異なります。

パソコンやサーバーからHDDを取り外して処理する装置のほか、一定の条件下で機器ごと投入できる装置もあります。ただし、すべてのパソコンを分解せず処理できるわけではありません。

磁気テープ・フロッピーディスク

LTOなどの磁気テープやフロッピーディスクも、対応する磁気消去装置で処理できる場合があります。

磁気テープには複数の規格があり、カートリッジのサイズや磁気特性も異なります。HDD対応装置であれば、すべてのテープを処理できるとは限りません。

装置の対応媒体一覧で、対象となるテープ規格や媒体サイズを確認してください。

SSD・NVMe SSDには利用できない

SSDは、フラッシュメモリへ電気的にデータを保存する媒体です。磁気を使って記録していないため、磁気消去ではデータを処理できません。

SSDを再利用する場合は、製品に対応したSanitize、Secure Erase、暗号化消去などを検討します。廃棄する場合は、メモリチップを対象とした物理破壊などが選択肢になります。

USBメモリ・SDカードには利用できない

USBメモリやSDカードも、SSDと同様にフラッシュメモリを使用しています。

磁気消去装置へ投入しても、データ消去の効果は期待できません。対応する上書消去、暗号化消去、物理破壊などを選びましょう。

HDDとSSDが混在する端末に注意する

ノートパソコン、デスクトップパソコン、サーバー、NASには、HDDとSSDが混在している場合があります。

例えば、データ保存用にHDD、OSやキャッシュ用にSSDが搭載されているケースでは、HDDだけを磁気消去してもSSD側にデータが残ります。

処理前に、端末へ搭載されているすべての記憶媒体を確認し、HDD・SSDそれぞれに適した方法を選んでください。

磁気消去のメリット

HDDを起動・認識できなくても処理できる場合がある

磁気消去では、HDDへ電源を入れたり、OSやファイルシステムから認識させたりする必要がありません。

そのため、次のようなHDDにも利用できる場合があります。

ただし、故障しているHDDであれば、無条件に磁気消去できるわけではありません。HDDと装置の仕様が適合していることが前提です。

大量のHDDを比較的短時間で処理できる

磁界を加える工程自体は、短時間で完了する装置があります。

そのため、PCの入れ替え、サーバー廃棄、リース返却などで、多数のHDDをまとめて処理する場合に適することがあります。

ただし、実際の作業時間には、次の工程も含まれます。

1回の磁気処理時間だけでなく、全工程を含めた作業時間と人員を見積もりましょう。

OSやファイルシステムに依存しない

上書消去では、HDDが正常に認識され、対象領域へデータを書き込める必要があります。

磁気消去は、HDD上のOS、ファイルシステム、パーティション、暗号化状態に依存せず処理できる場合があります。

Windows、macOS、Linux、サーバーOSなど、保存されていた環境が分からないHDDを廃棄する際にも利用しやすい方法です。

粉塵を出さずに処理できる

磁気消去は、HDDを破砕・切断する処理ではないため、処理工程で金属片や粉塵が発生しにくい点が特徴です。

ただし、磁気消去後のHDDは最終的に廃棄・再資源化する必要があります。必要に応じて、磁気消去後に物理破壊を組み合わせる運用もあります。

オンサイトで処理できる

磁気消去装置を依頼先へ持ち込むオンサイトサービスもあります。

HDDを社外へ持ち出せない組織では、社内で立ち会いながら処理できる点がメリットです。

オンサイトサービスを利用する場合は、装置の搬入条件、作業スペース、電源、安全距離、作業記録、処理後の媒体回収まで確認しましょう。

磁気消去のデメリット・注意点

HDDを再利用できない

磁気消去後のHDDは、原則として再利用できません。

HDDを社内で再配置する、売却する、譲渡するなど、処理後の利用を予定している場合は、全領域の上書消去などを検討してください。

SSDには利用できない

磁気消去の対象は、HDDや磁気テープなどの磁気記録媒体です。

SSD、NVMe SSD、USBメモリ、SDカードなどを誤って「処理済み」と判断すると、データが残ったまま廃棄・売却される可能性があります。

作業前に媒体の種類を判別し、HDD用とSSD用の処理フローを分けましょう。

外観だけでは処理済みか判断できない

磁気消去後のHDDは、外観がほとんど変わらない場合があります。

そのため、見た目だけでは、未処理のHDDと処理済みのHDDを区別できません。

処理を管理するためには、次の記録が必要です。

HDDと装置の適合性が必要

専用の磁気消去装置を使用しても、装置の性能が対象HDDへ適合していなければ、適切に処理できない可能性があります。

装置を選ぶ際は、次の項目を確認してください。

専用装置の購入・保守費がかかる

磁気消去を自社で行う場合は、専用装置の購入またはレンタルが必要です。

装置購入では、購入費だけでなく、次の費用・運用も考慮します。

強い磁界を扱うため安全管理が必要

磁気消去装置は強い磁界を発生させるため、装置メーカーの注意事項に沿って使用する必要があります。

磁気の影響を受ける機器、磁気カード、時計、医療機器などを周辺へ近づけないよう、設置場所や安全距離を確認してください。

ペースメーカーなどの医療機器を使用している人への注意事項についても、装置のマニュアルを確認します。

処理後の廃棄・リサイクルが必要

磁気消去はデータ処理の工程であり、HDDそのものの廃棄を完了させる処理ではありません。

磁気消去後のHDDを適切な廃棄・再資源化ルートへ引き渡し、処分完了まで記録しましょう。

上書消去・磁気消去・物理破壊の違い

比較項目 上書消去 磁気消去 物理破壊
主な対象 正常に認識できるHDD・対応SSD HDD・磁気テープ HDD・SSDなど
再利用 可能 原則不可 不可
故障媒体 処理できない場合がある HDDなら対応できる場合がある 対応可能
処理時間 容量に応じて長くなる 磁界を加える工程は比較的短い 装置・破壊方法による
媒体の判別 必要 HDDとSSDの判別が特に重要 媒体別の破壊方法が必要
主な証跡 ソフトログ・検証結果 装置ログ・作業記録 作業記録・破壊後の写真
主な用途 再利用・売却 HDD・磁気媒体の廃棄 再利用しない媒体の廃棄

上書消去

HDDの対象領域へ別のデータを書き込み、以前のデータへのアクセスを困難にする方法です。

HDDを再利用できる一方、HDDが正常に認識され、対象領域へ書き込める必要があります。大容量HDDでは処理時間が長くなる場合があります。

磁気消去

専用装置の磁界によって、HDDや磁気テープの記録を処理します。

HDDを起動・認識できない場合にも利用できる可能性がありますが、SSDには利用できません。また、処理後のHDDは原則として再利用しません。

物理破壊

HDDやSSDの記録部分を、専用装置で圧壊・破砕・細断する方法です。

媒体を再利用できなくなりますが、HDD・SSDの両方へ対応できます。媒体の構造に合った方法で記録部分を処理する必要があります。

どの方式を選ぶべきか

消去方法は、単純な優劣ではなく、媒体の状態と処分目的で選びます。

磁気消去に適しているケース

故障して認識できないHDDを処理する

OSやデータ消去ソフトから認識できないHDDでは、上書消去を実行できない可能性があります。

磁気消去は、HDDへ通電・認識させる必要がないため、故障HDDを廃棄する際の選択肢になります。

HDDを再利用せず廃棄する

磁気消去後のHDDは、原則として再利用できません。

処理対象がすべて廃棄予定のHDDであり、売却・再配置する予定がない場合に適しています。

大量のHDDを短期間で処理する

多数のHDDを上書消去する場合、容量に応じて長時間かかることがあります。

磁気消去は、磁界を加える工程が比較的短い装置があるため、大量のHDDをまとめて処理する場合に適することがあります。

ただし、実際の処理能力は、1回に投入できる媒体数、連続処理回数、待機時間、台帳管理の方法によって異なります。

HDDを社外へ持ち出せない

医療、官公庁、研究、設計など、機密性の高い情報を保存していたHDDでは、媒体の社外持ち出しを禁止している場合があります。

磁気消去装置を現地へ持ち込むオンサイトサービスを利用すれば、社内で立ち会いながら処理できる可能性があります。

磁気テープをまとめて処理する

バックアップに使用していた磁気テープを大量に廃棄する場合も、対応装置による磁気消去が選択肢になります。

ただし、テープ規格によって使用できる装置が異なるため、対象媒体への対応を確認してください。

ソフト消去でエラーが出たHDDを処理する

上書消去中に不良セクタや書き込みエラーが発生し、正常終了を確認できないHDDは、そのまま売却・廃棄しないよう注意が必要です。

再利用を諦める場合は、磁気消去または物理破壊へ切り替えます。

磁気消去に向かないケース

必要なデータが残っている場合は、磁気消去を実行する前に、データ復旧の要否を判断してください。磁気消去後は、データの復旧が困難になります。

磁気消去装置を選ぶ際の確認項目

発生磁界と対応媒体

装置が対象HDDの記録特性に対応しているか確認します。

「HDD対応」と書かれているだけで判断せず、対応するHDDの種類、媒体仕様、メーカーが示す対象範囲を確認しましょう。

HDD・テープの対応サイズ

3.5インチHDD、2.5インチHDD、磁気テープなど、装置に投入できる媒体サイズを確認します。

パソコン本体をそのまま処理できる装置でも、対応できる端末サイズや内部媒体が限られる場合があります。

1回の処理数と連続処理性能

大量処理を行う場合は、1回に処理できる媒体数、1時間あたりの処理数、連続使用時の待機時間を確認します。

装置単体の処理時間だけでなく、媒体の照合、投入、取り出し、記録に必要な時間も考慮しましょう。

ログ・証明書の出力

装置が処理結果を表示・記録できるか確認します。

装置から証明書が自動発行されるとは限りません。証明書を必要とする場合は、次の情報をどのように記録するか決めます。

保守・点検・校正

磁気消去装置を継続的に利用する場合は、保守、点検、校正などの条件を確認します。

装置の性能を適切に維持できるよう、メーカーやレンタル会社が示す点検周期に沿って管理しましょう。

設置環境・安全性

装置の重量、寸法、必要電源、作業スペース、使用時の安全距離を確認します。

磁気の影響を受ける機器、カード、時計などを装置周辺へ置かないよう、作業区域を分けることも重要です。

SSDの誤投入防止

SSDを磁気消去装置へ入れても、保存データは処理できません。

作業前にHDDとSSDを判別し、媒体ラベル、シリアル番号、端末構成表を照合します。

大量処理では、HDD用とSSD用の保管箱を分けるなど、誤投入を防ぐ運用を整備しましょう。

磁気消去装置の購入・レンタル・業者委託を比較

方法 向いているケース 主な確認事項
装置を購入する 継続的に大量処理する 購入費、保守、点検、教育、設置
装置をレンタルする 一時的に複数台を処理する 期間、処理回数、送料、操作方法
オンサイトサービス 媒体を社外へ持ち出せない 出張費、作業員、立ち会い、証明書
回収してもらう 自社に設備・担当者がいない 輸送、保管、再委託、処分先

装置を購入する

継続的に多数のHDDや磁気テープを処理する組織では、装置購入を検討できます。

ただし、初期費用だけでなく、保守、点検、作業者教育、設置場所、安全管理などの継続コストがかかります。

業者委託やレンタルと年間総額を比較したうえで判断しましょう。

装置をレンタルする

PC入れ替えやサーバー廃棄など、特定の時期にまとめてHDDを処理する場合は、装置レンタルが選択肢になります。

レンタル時は、次の項目を確認してください。

レンタルすれば必ず購入や業者委託より安くなるとは限りません。装置の配送、社内作業工数、証明書作成、処理後の廃棄費まで含めて比較しましょう。

オンサイトサービスを利用する

専門業者が磁気消去装置を依頼先へ持ち込み、その場でHDDを処理するサービスです。

媒体を社外へ持ち出さず、担当者が立ち会える点がメリットです。

次の項目を確認しましょう。

HDDを回収してもらう

自社に装置や担当者がいない場合は、HDDを業者へ引き渡し、業者の施設で磁気消去してもらう方法があります。

回収委託では、磁気消去の方法だけでなく、輸送中・保管中の管理も確認します。

磁気消去装置のレンタル会社を比較するポイント

磁気消去装置のレンタル会社を選ぶ際は、料金や機種名だけでなく、自社の媒体を適切に処理できるかを比較します。

比較項目 確認する内容
対応媒体 HDDのサイズ、磁気テープの規格など
装置仕様 対象HDDへの適合性、処理能力
利用期間 受取日・返却日を含む期間
処理回数 基本料金に含まれる回数と超過料金
配送 送料、専用ケース、搬入方法
操作支援 マニュアル、研修、問い合わせ対応
ログ・証明書 処理記録を残せるか
破損時の対応 修理費、保険、免責条件

公式サイトの料金や取扱機種は変更される可能性があります。利用前に、レンタル会社へ最新の条件を確認してください。

磁気消去の作業手順

対象媒体を洗い出す

処理対象となるパソコン、サーバー、NAS、外付けHDD、磁気テープなどを一覧化します。

端末本体だけでなく、搭載されている記憶媒体の本数を確認してください。

HDDとSSDを判別する

端末の仕様書、管理画面、媒体のラベルなどから、HDDかSSDかを判別します。

判別できない媒体を、磁気消去済みとして処理しないよう注意しましょう。

型番・シリアル番号を記録する

処理前に、媒体ごとのメーカー、型番、シリアル番号、資産管理番号を記録します。

複数台を処理する場合は、端末本体と内蔵HDDの対応関係も記録してください。

装置の対応媒体を確認する

磁気消去装置のマニュアルや仕様表で、対象媒体へ対応していることを確認します。

HDDのサイズだけでなく、装置メーカーが示す媒体条件を確認してください。

磁気消去を実行する

装置メーカーの手順に沿って、HDDを投入し、磁気消去を実行します。

安全区域、投入方向、連続処理時の待機時間などの指示を守りましょう。

処理結果を記録する

装置の表示・ログから、処理が正常に終了したかを確認します。

処理結果を、HDDのシリアル番号と紐づけて記録してください。

処理済み媒体を分離する

未処理HDDと処理済みHDDを、別の箱や保管場所に分けます。

処理済みのラベルを貼るだけでなく、台帳上でも状態を更新し、取り違えを防ぎましょう。

廃棄・再資源化する

磁気消去後のHDDを、適切な廃棄・リサイクル事業者へ引き渡します。

必要に応じて、廃棄証明書や再資源化の記録を受け取り、消去記録と一緒に保管してください。

磁気消去後の検証・証明書で確認すること

装置の処理結果を確認する

磁気消去後にHDDが読み取れないことだけで、処理の適切さを判断しないようにします。

装置が正常動作したか、エラー表示がなかったか、必要な処理条件を満たしたかを確認してください。

シリアル番号と台帳を照合する

処理対象として登録したHDDの台数と、実際に処理した台数を照合します。

すべてのHDDについて、シリアル番号と処理結果が紐づいていることを確認しましょう。

処理済み・未処理を分ける

磁気消去後のHDDは外観が変わらない場合があるため、保管場所と台帳の両方で処理状況を管理します。

エラーが発生したHDDは処理済みとせず、再処理または物理破壊へ移します。

消去証明書を保存する

消去証明書を発行する場合は、次の内容を確認します。

証明書を受け取るだけでなく、実際のHDDと証明書の記載内容が一致していることを確認してください。

廃棄・再資源化の記録を保存する

磁気消去証明書と、HDDの廃棄・再資源化記録は役割が異なります。

消去記録ではデータ処理を、廃棄記録では媒体の最終処分を確認します。必要に応じて、両方を保存しましょう。

磁気消去を専門業者へ依頼する判断基準

装置を保有していない

自社に磁気消去装置がなく、購入・レンタル後の操作や安全管理が難しい場合は、専門業者へ依頼する方法があります。

HDDの種類や適合性を判断できない

サーバーHDDや磁気テープなど、装置との適合性を判断しにくい場合は、対象媒体への対応実績を持つ業者へ相談します。

大量のHDDを処理する

大量処理では、装置の処理能力だけでなく、HDDの取り外し、シリアル番号管理、仕分け、廃棄まで対応できる体制が必要です。

HDDを社外へ持ち出せない

媒体の持ち出しが禁止されている場合は、オンサイト磁気消去に対応する業者を検討します。

故障HDDが多い

上書消去できない故障HDDが多い場合は、磁気消去と物理破壊の両方に対応する業者を選ぶと、媒体の状態に応じて方法を切り替えられます。

証明書・写真・立ち会いが必要

監査や取引先への説明で証跡が必要な場合は、シリアル番号付き証明書、作業写真、立ち会いに対応できるか確認します。

廃棄・再資源化まで一括管理したい

磁気消去後のHDD回収、廃棄、再資源化まで依頼したい場合は、業者の対応範囲と必要な許可を確認してください。

業者選定時の確認項目

「NIST対応」「NSA対応」などの表記だけで判断せず、どの基準、対象媒体、装置仕様を指しているのかまで確認しましょう。

磁気消去に関するよくある質問

Q1. 磁気消去とはどのような方法ですか?

A. 専用装置からHDDや磁気テープへ強い磁界を加え、磁気記録へのアクセスを困難にする方法です。

家庭用の磁石ではなく、対象媒体へ対応する磁気消去装置を使用する必要があります。

Q2. 磁気消去はどの媒体に使えますか?

A. 主な対象はHDDや磁気テープなどの磁気記録媒体です。

実際に処理できる媒体は装置によって異なるため、HDDのサイズ、テープ規格、装置の対応仕様を確認してください。

Q3. SSDを磁気消去するとどうなりますか?

A. SSDは磁気でデータを保存していないため、磁気消去ではデータを処理できません。

SSDには、対応するSanitize、Secure Erase、暗号化消去、物理破壊などを検討します。

Q4. 磁気消去は故障したHDDにも使えますか?

A. HDDへ通電・認識させる必要がないため、ソフトで処理できない故障HDDにも利用できる場合があります。

ただし、対象HDDと磁気消去装置が適合していることが前提です。

Q5. 磁気消去にはどのくらい時間がかかりますか?

A. 磁界を加える工程は短時間で完了する装置があります。

実際の作業時間は、HDDの取り外し、照合、投入、記録、仕分け、廃棄準備を含めて判断してください。

Q6. 磁気消去したHDDは再利用できますか?

A. 原則として再利用できません。

処理後もHDDを利用したい場合は、全領域の上書消去など、再利用を前提とした方法を検討してください。

Q7. 家庭用の磁石でHDDを消去できますか?

A. 家庭用の磁石では、HDDの記録面全体を適切に処理できません。

対象HDDへ対応する専用の磁気消去装置を利用してください。

Q8. 磁気消去と物理破壊はどちらを選ぶべきですか?

A. HDDを再利用せず廃棄する場合は、どちらも選択肢になります。

処理台数、利用できる装置、必要な証跡、処理後の廃棄方法から選びます。SSDは磁気消去できないため、物理破壊などを検討してください。

Q9. 磁気消去後にデータが消えたことをどう確認しますか?

A. 外観や読み取り確認だけではなく、装置の処理結果、シリアル番号、作業記録、消去証明書によって管理します。

エラーが発生した媒体は処理済みとせず、再処理または物理破壊へ切り替えてください。

Q10. 磁気消去装置のレンタルで確認すべきことは?

A. 対応媒体、利用期間、処理回数、超過料金、配送費、装置の重量、操作説明、ログ・証明書、破損時の負担を確認します。

社内作業工数と処理後の廃棄費も含めて総額を比較しましょう。

Q11. 磁気消去装置を購入する方がよいのはどのような場合ですか?

A. 継続的に大量のHDDや磁気テープを処理し、社外へ媒体を持ち出せない場合などに検討できます。

購入費だけでなく、保守、点検、教育、設置場所、安全管理を含めて判断してください。

Q12. 法人では磁気消去証明書が必要ですか?

A. すべてのケースで一律に必要とは限りませんが、監査、取引先への報告、リース返却、機密情報管理などで証跡を求められる場合があります。

証明書には、HDDのシリアル番号、使用装置、処理日時、処理結果などが記載されているか確認してください。

対象媒体と装置の適合性を確認して磁気消去を行おう

磁気消去は、HDDや磁気テープを再利用せずに廃棄する場合に有力な方法です。

HDDを起動・認識できなくても利用できる可能性があり、大量の磁気媒体を処理する場面にも適しています。

ただし、SSD、NVMe SSD、USBメモリ、SDカードには利用できません。また、磁気消去装置であれば、すべてのHDDに対応できるわけではありません。

処理前に媒体の種類と装置の対応仕様を確認し、処理後はシリアル番号、装置ログ、証明書、廃棄記録を保存しましょう。

自社で装置選定や媒体判別を行うことが難しい場合、大量のHDDを処理する場合、オンサイト対応や証明書が必要な場合は、磁気消去に対応する専門業者への相談も検討してください。

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